皆さんはご存知だろうか。日本にもジャーキー似た、地域に根差したソウルフードがあるという事を。
それは「せんじ肉」と書いて「せんじがら」と読む。
何とも珍しい読み方であるが、行く所へ行けば「せんじ肉」で溢れていたのだ。今回はせんじ肉を手に入れ、種類や味などを詳しく分析してみた。是非参考にして頂きたい。
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Contents
せんじ肉とは?
別名「せんじ揚げ」ともよばれるせんじ肉だが、広島県のソウルフードである。
主に「ガツ」と呼ばれる豚の胃を使用したホルモンジャーキーだ。素材は他にも鶏の砂肝、・・・・・・など、比較的素材のアレンジが効きやすいのが特徴である。
ビーフジャーキーの親戚ともいえるが、カリカリになるまで揚げたものなので、製法は全く違うと言っても良いだろう。しかし噛めば噛むほど味わい深くなっていくという特徴がビーフジャーキーと共通する部分もあり、今回はその実力を検証していきたい。
せんじ肉はどこで売っている?
せんじ肉は意外と都心部のスーパーでもたまに売っている時があるのだが、コンビニの「ポプラ」では随一の品揃えを誇る。
それもそのはず、ポプラは広島県に本社を置く、中国地方を中心に展開するコンビニチェーンなのだ。
店内でせんじ肉を探すと色々な種類やメーカーから発売されているせんじ肉はもちろんの事、ペット用のせんじ肉まで豊富に揃っている事に驚愕した。
ポプラは東京や大阪、九州や四国、北陸にも展開しているので、せんじ肉に興味があるなら、まずは近くのポプラを探してみる事をおすすめしたい。
早速実食し、評価をしていきたいと思う。せんじ肉の味をおなじみの星で表すとこのようになったので参考にして頂きたい。
せんじ肉(プレーン)
まずは定番と言えるプレーン味から。初めての実食に期待感が膨らむ。
1-1.概要
よく見るとビーフジャーキーに比べるとかなりの肉厚感がある。カットの大きさはやや小さめでビーフジャーキーのように持って食べるのではなく、一気に口の中に放り込むタイプである。
1-2.各評価
油っぽさ:★★☆☆☆
味の濃さ:★★☆☆☆
肉の旨味:★★★★☆
肉厚さ :★★★★☆
風味 :★★★★☆
固さ :★★★★☆
総合評価・・・68点
1-3.論評
食感は固めなのと、意外と味が薄いのが第一印象だ。揚げているといっても思ったより油っぽさはない。
ビーフジャーキーと単純比較する事はやはり難しく、似て非なるものだ。
醤油などの風味も感じられないかな・・・と思っていた所で、ある程度噛めば徐々に味わいが広がっていくではないか。
無駄に醤油や塩を使用せず、素材の持ち味でグイグイ勝負して来る。まさにストレートという名の魔球という表現がぴったりとハマる。
ことストレート度合いは我らがテングブランドのビーフジャーキーと共通している。しかも醤油などを使っていない分、こちらの方が日本風としてのレベルは高いのではないのかとさえ感じる。
素材が豚ホルモンなので臭みを感じる人はいるかと思う。しかも私自身が大の豚ホルモン嫌いなのだ。しかし私は臭みを感じなかった。
噛めば噛むほど増幅するその味わいは、クセは多いがなぜか飽きが来ない。土着の郷土料理っぽい素朴感と素材の旨味を「感覚の奥の方」で楽しめるこの味わいは、広島でも通好みの味である事が伺える。これは一本取られた。
スパイシーせんじ肉
続いてはスパイシーせんじ肉を実食。どの程度おスパイス感が味わえるのだろうか。
2-1.概要
こちらも見た目はプレーンとの大きな違いはない。素朴な感じのプレーンとスパイシーバージョンは好みが分かれるところであろう。
2-2.各評価
油っぽさ:★★☆☆☆
味の濃さ:★★★☆☆
肉の旨味:★★★★☆
肉厚さ :★★★★☆
風味 :★★★☆☆
固さ :★★☆☆☆
総合評価・・・69点
2-3.論評
印象としてはプレーンに比べると幾分柔らかく感じる。醤油や黒胡椒などのスパイスが作用しているのか。
味わいはそこまでスパイシーではなく、程よく黒胡椒が効いている。プレーンと違って醤油味も薄く効いている事から、バランスの良い味わいだと言えよう。
プレーンより味がはじめから分かりやすく、若者向けだと思った。
せんじ肉 砂ずり
さて、次は鶏の砂ずりを素材として用いたものだ。これはなかなか美味そうではないか。
3-1.概要
豚ホルモンのシリーズに比べるとカットは若干小さめだ。せんじ肉の素材としてはなかなかマッチしているように思える。
3-2.各評価
油っぽさ:★★☆☆☆
味の濃さ:★★☆☆☆
肉の旨味:★★★★☆
肉厚さ :★★★☆☆
風味 :★★★★★
固さ :★★★★☆
総合評価・・・65点
3-3.論評
はじめは味がしなかった印象だったが、噛んでいくと味わいが広がるところは王道のプレーンタイプを踏襲している。
プレーンの様に醤油は入っていなく、素材の味を楽しむものなので、噛めば噛むほどその味わいは奥深さを増していき、鶏の砂ずりの味が口いっぱいに広がる。
鶏好きにはたまらないだろう。香りが後を引き、クセになりそうな味わいである。
せんじ肉 豚ハラミ
お次は豚ハラミだ。一応ハラミもホルモンなので成り立つのだが、かなり肉っぽさが味わえると期待してしまう。
4-1.概要
限りなく肉に近いハラミを素材として持ってくるのは少しずるい気もするが、怒る程のことではないのでセーフとしよう。
予想通り、持ってみた感じはホルモンっぽさはないので、好き嫌いが出ない感じの印象だ。
4-2.各評価
油っぽさ:★★★★☆
味の濃さ:★★★☆☆
肉の旨味:★★★★★
肉厚さ :★★★☆☆
風味 :★★★★☆
固さ :★★☆☆☆
総合評価・・・73点
4-3.論評
先でも触れたが、ハラミという部位は豚でも牛でもホルモンとして扱われる。しかしホルモンの中でもハラミは精肉に非常に近いのだ。
ホルモンではなく、ほぼ肉と言って良いだろう。この商品も例外ではなく、今まで挙げた中では一番肉っぽさを感じる事ができた。
実はせんじ肉という先入観に一番近かったのがこの商品で、カリッと揚げているので表面はパリッとしているが噛んでいけばすぐに柔らかくなっていき、ほんの少しの醤油の風味が広がるという、料理として完成された感があった。
ビーフジャーキーに味わいは近いが、やはり製法に大きな違いがあるので別のおつまみと捉えた方が良いだろう。
ぜひ4種類セットで食べて欲しい。きっと新たな発見があるはずだ。
最後に
いかがだっただろうか。初めてせんじ肉という世界へ飛び込んでみたのだが、まだまだ分からない事も多く、究めるには長い時間がかかるだろう。
第一印象としては豚ホルモンのイメージではなく、郷土料理ともいえるクオリティを持ったおつまみであった。
噛めば噛むほど広がるその味わいが広島の人々を虜にしてきた事に納得だ。これからもたまにはせんじ肉の研究も引き続き進めて行きたい。